日銀総裁挨拶文から「追加緩和」が消える

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10月17日に日銀の支店長会議が開かれ、総裁の挨拶要旨が日銀のサイトにアップされた。

9月21日に決定された「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によって何が変わったのか、前回と比較するとわかりやすい。

(1)の「わが国の景気は」の部分と(2)「物価面をみると」、(3)の「わが国の金融システムは」については、一字一句変わっていない。景気と物価の見方が変わっていないのに、何故フレームワークを変えなければいけなかったのかという疑問については、とりあえず置いておきたい(ここは結構、大きなポイントではあるが)。

変化があったのは、最後の(4)の部分である。7月のものと今回のものを比較してみたい。

7月の支店長会議挨拶

(4)日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続する。今後とも、経済・物価のリスク要因を点検し、「物価安定の目標」の実現のために必要な場合には、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じる。

10月の支店長会議挨拶

(4)金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。

2%の「物価安定の目標」の実現を目指し必要な時点まで行う政策が、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」から「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に変わった。これはフレームワークの変更があったため当然ながら名称が変わった。

そのあとの文章も大きく変わっている。「経済・物価のリスク要因を点検し」が「経済・物価・金融情勢を踏まえ」に変化しており、「リスク」という文字がなくなっている。

10月に加えられた部分に「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。」がある。

物価目標が消費者物価指数(総合)から、消費者物価指数(除く生鮮食品)に変わっただけでなく、「安定的に2%を超えるまで」とした。ただし、マネタリーベースの拡大「方針」を続けるとなっており、なぜか「方針」がついている。さらに「物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため」として、こちらもなぜか「モメンタム(勢い)」という言葉を使っている。

そして大きな違いといえるのが、7月にあった「追加的な金融緩和措置を講じる」がなくなり、「必要な政策の調整を行う」に変わったことである。つまり、7月の総裁挨拶では緩和方向しか示されない片道切符であったものが、10月は双方向を意識した文章となっている。だから「リスク」という文字もなくしたものと思われる。

これは日銀の新政策が緩和だけでなく、引き締め方向にも転じる可能性を意識したものに変えたとの見方もできる。そもそも中央銀行の金融政策は金融緩和と金融引締の片方だけ行うものではない。両方向を意識したという、あたり前の文章に戻しただけとも言えよう。ただ、これは日銀の緩和に向けた前傾姿勢が微妙に変化しつつあることも意味している可能性がある。

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